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【住田正一海事奨励賞各賞 受賞者決定のお知らせ】

2013年度 「住田正一海事奨励賞」、「住田正一海事史奨励賞」及び
「住田正一海事技術奨励賞」決定のお知らせ
一般社団法人日本海運集会所
住田正一海事奨励賞管理委員会


 
左より、武城正長氏、宇佐美昇三氏、小林顕太郎氏

  住田正一海事奨励賞は、海運・造船事業に従事するかたわら、海事資料刊行、海事史の研究を通じて、広く海事文化の発展に寄与された故住田正一氏の功績を記念して設置された。
正一氏のご子息、住田正二氏(元運輸事務次官、元JR東日本社長、現JR東日本顧問)が、1969年に創設して以来、一般社団法人日本海運集会所に住田正一海事奨励賞管理委員会を設け、選考決定している。2002年度から海事史奨励賞、2008年度から海事技術奨励賞が設けられた。

 第45回となる本年度は、海事奨励賞候補作、海事史奨励賞候補作及び海事技術奨励賞候補作に意欲的な応募があった。慎重に検討を重ねた結果、海事奨励賞に武城 正長著『便宜置籍船と国家』(御茶の水書房)、海事史奨励賞に宇佐美 昇三著『蟹工船興亡史』(凱風社)、海事技術奨励賞に、池田 良穂ほか47名の共著『船舶海洋工学シリーズ(全12巻)』(成山堂)をそれぞれ決定した。なお、海事技術奨励賞に関しては、公益社団法人日本船舶海洋工学会 事務局長の小林 顕太郎氏が著者の代理で授賞式に出席された。

■海事奨励賞  「便宜置籍船と国家」 武城 正長 著
 本書は便宜置籍船の定義や起源、便宜置籍制度に関連のある世界の政治状況の変遷を整理した上で、第二次大戦後の冷戦下の米国の軍事戦略や南北国家間の対立・競争の中で同制度が形成された過程を豊富な文献調査に基づき詳述している。同制度の研究者のみならず海運にかかわる実務者にも便宜置籍制度を通じて海運の国際規範や海運国家の海事政策の変遷を学び、かつ国家利益の追求という厳しい国際政治を知る上での好著である。
 著者武城正長氏の略歴: 1942年生。東京商船大学航海学科卒業、同専攻科修了、広島大学政経学部卒業。山下新日本船舶株式会社、広島商船高等専門学校教授を経て、2013年3月まで大阪商業大学総合経営学部教授を務められた。
 
■海事史奨励賞  「蟹工船興亡史」 宇佐美 昇三 著
  小林多喜二の「蟹工船」が近年再脚光を浴びた。本書は蟹工船が戦前厳しい労働環境であったことは否定しないものの、その出現から終焉までの60年にわたる歴史の事実を検証し、誇張や偏見を排し日本の近代輸出産業史に大きな足跡を残した蟹工船の全貌を解き明かしている。調査は30年に及び、膨大な資料の蒐集と分析、多数の関係者との面談、幾多の現地取材を重ね何回も書き直しされた労作である。
著者宇佐美昇三氏の略歴: 1934年生。立教大学卒業後、国際基督教大学大学院に進学、1959年NHKに入局。1961年NHKを休職し、フルブライト奨学生としてニューヨーク大学に留学、1970年国際基督教大学修士課程終了。NHK復職後国際局報道部員、教育局番組ディレクター、総合放送文化研究所主任研究員を経て、1986年上越教育大学助教授、1989年同大学教授、1993年から駒沢女子大学教授、2005年同大学定年退職後、現在日本大学芸術学部非常勤講師。『笠戸丸から見た日本』(海文堂出版、2013年)で山縣勝見著作賞を授賞。
 
■海事技術奨励賞  「船舶海洋工学シリーズ」(全12巻)
             日本船舶海洋工学会 能力開発センター教科書編纂委員会 著

 本シリーズは、産学の連携によって4年の歳月をかけ編纂された我が国で初めての造船に関する包括的な教科書である。船舶海洋工学の専門分野それぞれの専門書は過去にもあったが、本シリーズは工学技術の科目ごとに基本的に学んでおくべき技術・理論を体系的に整理し、全12巻で造船の分野を網羅する学習書となっている。将来の海運・造船を担う学生、若手技術者に対する大学教育、社内教育かつ自己研鑽にとって格好の教材となるものである。
 著者は総勢48名。造船工学を研究する主要大学で教鞭を取る学識者、大手中堅の造船会社の第一線で活躍する技術者、国交省船舶技術研究所他海上技術関連の独立法人の技術職員の方々が参加し、まさしく産学官一体で編纂されている。また、これだけ多数の方々の著作を体系的にまとめ上げた能力開発センター教科書編纂委員会の委員の皆様の苦労が本シリーズに結実しており、称讃に値するものである。