新仲裁規則
平成15年12月25日付政令第544号により、同8月1日付で公布された仲裁法が平成16年3月1日をもって施行されることとなったのを受け、平成15年11月25日開催の海事仲裁委員会で承認された新仲裁規則は平成16年3月1日付で施行されました。
同規則の施行により、当所の仲裁手続は、仲裁を申し立てる当事者にとって、より便利なものとなりました。
改正規則(全文)
◆新仲裁規則(全文)
◆新簡易仲裁規則(全文)
◆新少額仲裁規則(全文)
※新旧規則対照表(pdfファイル、海事法研究会誌2003年12月号より)
改正のポイント
- 1.仲裁法制定に伴って語句を変更したもの
- 仲裁人会→仲裁廷。仲裁契約→仲裁合意。陳述書→主張書面。住所→住所、常居所、営業所、事務所。審尋→口頭審理。
- 2.代表者資格証明書について(第5条及び第9条第1項)
- 申立人が被申立人の代表者資格証明書を入手できない場合があるので、それぞれの当事者が自己の代表者資格証明書を提出することとした。
- 3.時効の中断(第7条第2項)
- 法第29条第2項で仲裁手続における請求は、時効中断の効力を生ずることが明定されたので、第7条第2項を改正した。郵送された仲裁申立書が休日に到着したような場合、受理するか否かの判断が翌営業日になることを考慮した。
- 4.仲裁人の選任(第14条〜第16条)
- 旧第14条第2項を全面的に改め、第15条に規定するとともに、多数当事者仲裁の場合における仲裁人の選任に関する第16条を設けた。
二当事者間の仲裁について第15条では、各当事者が第14条の要件を充たす仲裁人候補者を1名ずつ指名し、指名された2名の仲裁人候補者が第三仲裁人を指名し、その指名された仲裁人、第三仲裁人を委員会が仲裁人として選任することとした。旧規則では当事者は希望仲裁人の氏名を7名まで事務局に通知し、委員会がその通知に従って仲裁人を選任すると規定していたが、多くの仲裁機関において当事者が仲裁人を指名する方法をとっており、特に国際仲裁の場合、TOMACを使わずに他の仲裁機関が選択されることがあるので、他の仲裁機関と同じように当事者の仲裁人に対する信頼という点を重視して改めた。当事者が仲裁人の選任を委員会に任せた場合は委員会において選任する。一旦選任された後は仲裁人は当事者と接触してはならない。
- 5.仲裁人の開示(第19条)
- 法第18条4項に合わせ、仲裁人の選任後手続進行中に、仲裁人に不偏性又は独立性を疑われる事由が生じたときについても開示の規定を設けた。
- 6.仲裁手続の迅速化(第20条第3項、第24条)
- (1) 忌避審査委員会が仲裁人の忌避を認めるか否かの結論を、委員会設立から原則として30日以内に出すこととして、手続の迅速化を図った。
(2) 仲裁廷と当事者が速やかに手続を進行するよう、争点整理と手続日程について規定を設けた。
- 7.口頭審理(第22条)
- 仲裁廷の判断で口頭審理を行わずに書面審理のみを行えることを明定した。法第32条第1項は「仲裁廷は、...口頭審理を実施することができる。」と規定している。
- 8.第三者の手続参加(第26条)
- 仲裁合意の当事者ではなくても、仲裁の結果に利害関係のある者が仲裁手続の途中でその手続に参加できるよう規定を設けた。
- 9.仲裁手続の併合(第27条)
- 法律上又は事実上の争点が共通である複数の仲裁手続の併合に関する規定を設けた。
- 10.仲裁判断書の記載事項(第37条第1項)
- 法第39条に従って仲裁判断書に仲裁地を記載し、管轄裁判所の記載を削除した。
- 11.判断書の送付(第39条)
- 仲裁判断書の裁判所への預置きが廃止されたので、改めた。
- 12.代理人費用に関する規定(第44条第2項)
- 英国など諸外国では法律で弁護士費用を仲裁費用の一部としているが、法は、個人が当事者となる場合を考慮して、弁護士費用の請求に関する規定を設けなかった。TOMACの仲裁合意がありながら、弁護士費用まで回収できるロンドンの仲裁を選択する場合があるので、仲裁規則でこの規定を新設した。英国では勝者が敗者から7割位の弁護士費用を回収することが多いようである。
- 13.簡易仲裁規則及び少額仲裁規則
- 上記の点に合わせて、簡易仲裁規則及び少額仲裁規則の関係箇所をそれぞれ改めた。
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